2007年の秋、『懐かしの昭和30年代ドリル』という本を出しました。世相・流行、テレビドラマ、玩具・遊び、学校・文具、野球、格闘技、日本映画など24のジャンルに分け、クイズでその時代をふり返ってもらおうという内容です。映画「ALWAYS
続・三丁目の夕日」の公開に合わせた企画でした。
あの映画の中の時代は昭和33~34年です。山崎貴監督および主演の堤真一、薬師丸ひろ子の3人は、昭和39年生まれだそうです。ぎりぎり30年代に生まれて、その記憶があるはずのない彼らが、みごとにあの時代を描き、演じました。そもそも、30年代の半ばを映画にしようという発想がどこから出てきたのか、最初は不思議でした。でも、たとえ実体験していなくても、あの時代がもつエネルギーとか、一生懸命に生きていた人たちの心とかを、彼らもなんらかの形で感じているのだろうと思います。昭和54年生まれのわが息子も、執筆中に机の上に積み上げていた資料を、興味深げにのぞいていましたから、世代をこえて訴えるなにかがあるのでしょう。
われわれ団塊の世代にとって、30年代は忘れようとも忘れられない10年間です。小学校1年生から高校2年まで、すでに社会人になっている人たちもいましたから、人生で最も成長の著しいころと、日本の高度成長とがまさにシンクロしていました。身の回りのなにもかもが、30年と39年ではまったくちがいました。おしなべて国民の暮らしは豊かになり、日常生活はぐっと便利になりました。あのころ登場したもので、いまもなくてはならないもの。テレビ、電気釜、電気洗濯機、電気冷蔵庫、インスタントラーメン、マイカー…。数え上げればきりがありません。しかし、どうでしょう。すべてがよくなったかというと、そうでもないような気もします。
私は記憶力がいいほうですから、この本は基本的には記憶だけで書きました。資料は確認に使う程度でした。ところが、執筆が終わったあと、なにかしらスッキリしないものが心に残ったのです。「あのころにあって、いまにないもの」への思いです。いまも必要であるはずなのに、なくなってしまっているもの、あるいは忘れられているものと言ったほうがいいでしょうか。映画「三丁目の夕日」では、同じような視点で“人の心”が描かれていましたが、ほかにもいろいろありそうです。
折りしも、私の古巣の学習研究社から、小学生向けの書籍『くらべてみよう!昭和のくらし』(全5巻)への企画協力を依頼されました。おかげで、また思い出す機会ができました。何度かに分けて、ずっと若い世代の編集者やライターに、子どものころのことをお話ししましたが、けっこう興味をもってくれたようです。それが2008年秋のことでした。そこで、しばらくは昭和30年代を中心に、自分の育った時代のさまざまなことを改めて思い出しながらつづり、このサイトで発表していくことにしました。自分自身も、そこからなにかを学びとることができると確信しています。 |
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『懐かしの
昭和30年代ドリル』
(世界文化社)
667円+税
CONTENTS
01「ALWAYS 続・三丁目の夕日」の時代
02世相・流行
03乗り物
04子ども番組
05外国ドラマ・西部劇
06テレビドラマ
07バラエティ・歌番組ほか
08コマーシャル
09ファッション
10生活・文化
11新商品
12玩具・遊び
13菓子・駄菓子屋・露店
14学校・文具
15野球
16格闘技
17事件・日本のできごと
18事件・世界のできごと
19マンガ
20日本映画
21外国映画
22日本のヒット曲
23外国のヒット曲
24東京オリンピック
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●なつか新聞1「昭和のヒーロー・長嶋茂雄」
●なつか新聞2「オリンピックがやってきた!」 |
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