■テレビ朝日も徳川埋蔵金の発掘レースに参入
そんな折、テレビ朝日から埋蔵金発掘の特番を作りたいという相談があった。2匹目のドジョウ狙いだ。場所はどこでもよかったのだが、徳川の埋蔵金はほかにも有力な場所があるから、素人だましのTBSに正面からぶつけていくことを提案するとそれが採用され、平成4年(1992)4月22日、午後7時からのゴールデンタイムに、赤城の北方に位置する昭和村の丸山というところから発掘生中継を行うことになった。
昭和村生越の片品川の河畔にある古墳のような形をした丸山は、沼田市在住の埋蔵金研究家、高橋喜久雄氏が、10代のころから不思議に思い、調査を続けてきた場所。周辺には幕末のころの怪しげな人と物資の動きなど、さまざまな目撃談が伝わる。
しかし、発掘予定地の地主が中継当日まで交渉を続けたものの、ついに許可を出してくれず、やむなく丸山の脇の河原を掘ることに。もちろん、何かが出てくるはずもなかった。
(写真提供/テレビ朝日)
ただ、土地の伝承を調べ、物証を探し、それをもとに伝説の信憑性を確かめ、場所を推理していくという埋蔵金探しの本来の醍醐味は伝えることができた。その証拠に、番組終了後、高橋氏のもとに数人の人物から徳川の埋蔵金に関連する有力な情報が伝えられた。 高橋喜久雄氏と私の考えは、次の点で一致していた

●徳川の軍用金は、計画段階では赤城山麓への埋蔵を考えていたかもしれないが、最終的にはそこへ運ばれていないか、いったん運ばれた後、さらに北方へ移した可能性が高い。また、1カ所ではなく数カ所に分散して埋蔵したと考えられる。赤城より北方の旧街道沿いに残るいくつかの幕末の目撃談が、そのことを示唆している。


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