以上のような経緯で、私たちは海賊ウィリアム・キッドが宝を隠した場所を、日本の宝島の中でほぼ突き止めました。2つの基点、“Rock”と“Palm”からさほど遠くはないはずです。
 ここからの課題が2つありました。1つは、数字の単位が何かということです。私は歩数とヤードの2通りを考えました。また、基点をスタート地点としてたどるのが普通ですが、もしかしたら逆もあるかもしれないと、念のために基点をゴールとするルートも設定しました。ただ、後者の場合、現存する“
Palm”を通過することに無理が生じたため、かつてあったかもしれない幻の“Palm”を仮想することにしました。
 このうち、崖から飛び出してしまうケースもあり、実際に可能性のある場所は3カ所に絞られました。

▲基点からコンパスで方角を見ながら巻き尺で距離を測り、ロープを張っていく。
▲X地点の近くの、サンゴの岩がゴロゴロしている一帯。空洞反応があった!
1.基点1の“Rock”から18歩NE(北東)、71歩W(西)で基点2の“Palm”へ そこから26歩ENE(東北東)、18歩SW(南西)のX地点(宝庫)

2.
Y地点(宝庫)から26歩ENE(東北東)、18歩SW(南西)で基点2の“Palm”(仮想/現存しない)へ そこから18歩NE(北東)、71歩W(西)で基点1の“Rock”にたどり着く。

3.
Z地点(宝庫)から26ヤードENE(東北東)、18ヤードSW(南西)で基点2の“Palm”(仮想)へ そこから18ヤードNE(北東)、71ヤードW(西)で基点1の“Rock”にたどり着く。

 基点“
Rock”にはある程度の大きさがありますので、当然誤差も考えなくてはなりません。私たちは何段階かに分けて、探知機を使ってポイントを探ることにしました。
 最初に使ったのは、一般にトレジャー・ハンティング用として使われている金属探知機と、地下6メートルほどまで金属や空洞の有無を探ることのできる探知機です。すると、X地点の近くに、このあたりでほかには見かけない、ひとかかえほどの白っぽいサンゴの岩がゴロゴロしているところがあり、その下にかすかな空洞反応がありました。岩盤を掘りぬいて宝庫を作り、そこから出た岩を地表に転がしたのかもしれません。
 もう1カ所、Z地点の近くで、地下12メートルまで探査できるハイテクの金属探知機に、強烈な反応がありました。ターゲットはある程度深く、そして量がありそうです。最終的にこの2カ所を、8月27日の本番で掘ることになりました。
■今回使用した各種探査機
▲使いやすく、最大1.4mまでの探査も可能な金属探知機「Sierra Madre(シエラ・マドレ)」
▲モードの切り替えで金属探知機としても、空洞探知機としても使える「TM808」

▲コンピュータと連動して、地下構造をリアルタイムで画像にして分析する「RT-2003/ローバーC」
▲深度12mと、金属探知機としては世界最高の探査深度を実現させた「DEEP-MAX」

●「Sierra Madre」と「TM808」はTSトレーディング(坂本孝博氏経営)より、「RT-2003/ローバーC」と「DEEP-MAX」はアイメックストレーズ(肱岡則幸氏経営)より借用しました。2人とも日本トレジャーハンティング・クラブの会員です。

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