キャプテン・キッドの想像画(ニューヨークのアドベンチャーギャラリー蔵/Howard Pyle作)
 その宝島に、17世紀のイギリスの海賊、ウィリアム・キッドが財宝を隠したといえば、誰でも「まさか」と思うことでしょう。あまりにもできすぎた話です。
 でも、国内の財宝伝説の中でもベスト20か30に入るほど有名な話で、しかも、これまで実際に探した人が相当数いるらしいのです。いったいどのような伝説なのか、それを述べる前に、まずはウィリアム・キッドとという人物についてご紹介しましょう。
 キッドは1645年、スコットランドに生まれ、アメリカのニューヨーク州に移住して貿易船の船長になりました。妻方の資金をバックに有数の商人となったのですが、あるとき当時横行していた海賊船を取り締まる役につきます。しかし、これは割に合わない仕事で、獲物を捕らえなければ乗組員に給料を払うこともできず、しだいに海賊船ではない船まで襲うようになりました。こうなったらもう海賊同然です。
 1698年1月には東インド会社の商船「クェダ・マーチャント号」を襲い、以後おたずね者となりました。そして、翌年、ニューヨークに帰ったところを捕らえられ、1701年5月、ロンドンで絞首刑に処せられています。
 キッドが実際に海賊行為を働いた年月は、けっして長くはありません。ですから、「7つの海を荒らし回り、キッドが略奪行為を働いたところの近くの島には必ず財宝が隠されている」という話は、かなり誇張されたものであることは確かです。それでも、彼の活動拠点に近かったニューヨークのロング・アイランド島の東端に浮かぶガーディナーズ島や、カナダのノバ・スコシア半島の東岸にあるオーク島では、隠されていた宝物が見つかったことがあり、未発見のものもあると考える人が、今でも宝探しを目的に訪れるそうです。エドガー・アラン・ポーの『黄金虫』は、隠されたキッドの宝を題材にしており、ロバート・スチーブンソンの『宝島』のモチーフにもなっています。
■Google Earthで
ガーディナーズ島を
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ガーディナーズ島を
Google Earthで見ると、
“Captain Kidd Hollow”とか
“Captain Kidd's treasure, found here”
といった説明が見られる。
ただし、Layersの中の
“Google Earth Community”と
“Geographic Features”
をチェックしておくこと。

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