■金山跡への新ルート開拓は失敗に終わる

2008年秋、前々から検討していた金山跡への道具、資材搬入の新ルート探しを実行に移すことにした。
従来の沢伝いのルートだと、麓の村から林道を約2.5㎞登ったところにある駐車場から現地までは700~800mと、さほど距離はないが、標高差が300mもあって、険しい崖登りを余儀なくされる。それに対し、もし隣接するスキー場「ホワイトワールド尾瀬岩鞍」の山頂駅まで通してもらえるならば、そこから現地までは200mほどで、しかも下りである。
スキー場の支配人に交渉すると、快く協力を引き受けてくれた。おまけに、山頂駅までは雪上車で荷物を運んでくれるという。我々は喜び勇んでそのルートに挑んだ。しかし、下りの斜面が想像を絶するほど急なうえに、背丈以上の熊笹にびっしりと覆われていて、かえって厳しいことがわかった。
こうなったら、従来のルートを多少でも歩きやすくするしかない。2009年5月末、本格的な調査再開を前にして、まず、雪解け水が激しく流れる沢の1カ所に橋を架け、垂直に切り立った雌滝の脇の崖に、4段にわたってロープと縄ばしごを取りつけた。これでずいぶん登り降りが楽になった。続いて、ショベル、ツルハシ、じょれん、鍬、そり、ロープ、ブルーシートなどの道具と資材を運び込む。準備は万端!
毎年ゴールデンウィークまで滑ることができるスキー場の山頂付近
2008年の9月と11月に2度新ルート探しにチャレンジしたが失敗に終わる。
金井沢は初夏のころには雪解け水が激しく流れる。イワナの宝庫でもある。 最も川幅の広いところに倒木を使って橋を架けた。
雌滝の脇約50mに4段にわたってロープと縄ばしごをかけた。
5月下旬とはいえ、現場にはまだ雪が残っていた。初めてのメンバーもいたので、まずは試し掘りという感じで、感触を確かめながら2日間にわたって斜面を掘削。6月に入ったら毎週末に通う覚悟で、できれば梅雨入り前に決着をつけたかったが、そう簡単にいくはずもなかった。


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